マタニティ期の精油使用の是非

マタニティ期の精油使用の是非

妊娠期や出産後のママたちが「精油」で香り付けされたマルチオイルを使用することについて、疑問や心配がある方もいらっしゃるかもしれません。そこで、このコラムではマルチオイルに使用されている精油について詳しくご説明します。

 

「精油」は、植物から抽出した天然の香り成分です。植物の花や葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出され、高濃度の有効成分を含んでいると言われております。。ただし、中には光毒性※や皮膚刺激の成分を含む精油も存在しますので、注意が必要です。

※ 光毒性とは、(精油などの)光感作物質を肌につけた状態で日光に当たることで、「色素沈着(シミ)」や「炎症」などの皮膚トラブルが起こること。 精油に含まれる成分が紫外線に反応することで起こります。

 

マルチオイルに使用されている精油は、フランキンセンス、ラベンダートゥルー(オーガニック)、ネロリ(オーガニック)、オレンジスイート(オーガニック)、グレープフルーツFCF(オーガニック)です(全て香気成分)。

通常の「グレープフルーツ精油」は光毒性のある成分を含みますが、マルチオイルでは「フロクマリンフリー(FCF)」というタイプを使用しています。

 

また、精油を化粧品に配合する際には、国際香粧品香料協会(IFRA)の基準に則っています。

「ラベンダー精油」をネットで検索すると「妊娠に禁忌」というワードを目にすることがあります。今回使用しているのは「Lavendula angustifolia」という学名のものです。真生ラベンダー、イングリッシュラベンダー、ラベンダートゥルー(トゥルーラベンダー)とも呼ばれるもので、古くから薬用として使われています。米国ハーブ製品協会においては、Lavendula angustifoliaは「適切に使用すれば安全に摂取できるハーブ」に位置づけられております。

 

※米国ハーブ製品協会とは、健康とQOL向上のために、ハーブ製品の流通において責任ある販売の促進を目的とする米国の民間団体。 ハーブの安全性については世界的な評価基準として信頼され、翻訳された「メディカルハーブ安全性ハンドブック」は厚生労働省もハーブの安全性基準の参考文献として採用。

 

一方、「ラベンダーストエカス(Lavandula stoechas)」や「スパイクラベンダー(Lavandula latifolia)」など、別の種類のラベンダーには禁忌があります。これらの種類は成分に神経毒性が含まれるため、乳幼児や妊産婦、授乳中の方、てんかんの既往がある方にはお勧めされていないと言われております。

 

以上のように、マルチオイルに使用されている精油は、注意を払いながら使用すればマタニティ期の方でもご利用できるものです。ただし、妊娠期間中は通常よりも嗅覚やお肌が敏感になることがありますので、異常な症状が現れた場合は使用を控え、医師に相談することをおすすめします。

 

ご自身の身体とよく向き合い、安心してリラックスできる香りのマルチオイルを活用し、特別な時間を過ごしてください。

 

調香師  酒井めぐみ 調香師
酒井 めぐみ
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